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このページでは、SANStorage Area Network)について簡単に概要のみを解説しています。




ストレージネットワークとその技術

SANStorage Area Network)の概要

LANを構築すると、多数のサーバーをLANに接続することができます。
このサーバー群のバックグラウンドにLANとは異なるネットワークを作り、その中に多数のストレージ(外部記憶装置)を配置することもできます。
SANは、このようなネットワークを指し、LANとは区別されます。
SANとは、Storage Area Networkの略で、ストレージエリアネットワークのことを言います。
サーバーで使う主な外部記憶装置には、ハードディスク装置や磁気テープ装置などがあります。
以下の図を御覧になればイメージを掴みやすいかと思います。

LANとSAN

上の図を御覧になれば、LANSANの接続や、基本的なSANの構成もおわかり頂けたかと思います。
既存のLANに接続しているサーバー群がある環境で、SANを導入する場合、サーバーをSANに接続するためには、HBAHost Bus Adapter)というものが必要になります。
HBAは、SCSIボードみたいなもので、拡張ボードとしてサーバーにインストールします。
HBAの種類は、非常に豊富で多くのベンダーが提供しています。
SANに接続するためのケーブルには、性能が良いことから主に光ファイバーが使用されますが、同軸ケーブルなどが使用される場合もあります。
LANでは、中継装置としてハブスイッチルーター無線LANアクセスポイントなど様々なものがありますが、SANでは主にFibre Channel Switchファイバーチャネルスイッチ)という独特な中継装置を使用してネットワークを構築します。
ファイバーチャネルスイッチは、SAN専用の中継装置なので、LANスイッチとは異なることに注意して下さい。
ネットなどでよくFCという言葉を見かけますが、これはファイバーチャネルの略語です。
製品のカタログなどで FC Switch と記載されていたら、ファイバーチャネルスイッチのことだと思って下さい。
このファイバーチャネルスイッチネットワーク・ストレージ群とサーバー群から成るストレージエリアネットワークを構築すると、この中では非常に高速なデータ転送を実現できます。
ファイバーチャネルは、ネットワーク技術の一種で、主にストレージエリアネットワークで利用されていて、標準規格となっています。
ファイバーチャネルの技術には、コンピュータとネットワーク・ストレージを繋ぐためのデータ転送方式、主に光ファイバーなどの伝送媒体、及び、その媒体を使用した場合の伝送速度や接続距離などに関する規格、5つのレイヤ階層)から成るプロトコル、3つのトポロジーネットワークの接続形態)などを含みます。
LANでは、プロトコルは主にTCP/IPを使用しますが、SANではFCPファイバーチャネルプロトコル)という独特なプロトコルを使用します。
従って、SANLANとは異なる通信を行います。
流れるデータのフォーマットも違います。
イーサーネットIPでもありませんので、違うのは当然です。
なぜ、LANとは通信機器もプロトコルも異なるネットワークを使用してまでもSANを構築する必要があるのでしょうか。
従来、サーバーでは、ハードディスク装置や磁気テープ装置などのストレージ(外部記憶装置)をSCSIという規格のインターフェイスを使用して、コンピュータとストレージを直接接続していました。
このようにストレージとの直接接続をDAS(Direct Attached Storage)と言います。
SCSIには、接続できる装置の数に限界があり、複数の装置を数珠繋ぎできるが、ケーブル長の関係で距離に限界があり、通信速度にも限界があるという欠点がありました。
SANはこれらの欠点を補うことが可能です。
SANでは、従来のDASの場合とは異なり、サーバーごとに個別に外部または内蔵のストレージを持つ必要がなくなります。
どのサーバーも同じストレージをSANで共有できるメリットがあります。
これによってストレージの管理コストが下がります。
SANでは、1台のコンピュータに最大125台の機器を接続することが可能です。
SCSIでは、数台の装置を接続するのが限度でした。
SANでは、各機器間の最大距離が光ファイバーでは10km、同軸ケーブルでは30mです。
光ファイバーでは、遠くまで送れるし、信頼性も高いことから最近では光ファイバーを多く使用されます。
速度の面では、大容量のデータ転送を効率的に、かつ、高速に行えるというメリットもあります。
最大転送速度は、光ファイバーでは1.0625Gbps、同軸ケーブルでは133Mbpsなので、かなり高速です。
光ファイバーでは、ギガビットイーサーネットクラスです。
また、SANでは、バックアップサーバーを用意し、SANに対応したバックアップソフトウェアを使用してバックアップ時間の短縮も可能です。
簡単ではありますが、SANについてだいたいおわかり頂けましたでしょうか。



SAN & NASストレージネットワーク管理

ファイバチャネル技術解説書 II


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