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このページでは、NICNetwork Interface Card)の仕組みについて解説しています。



LANの初歩

NICNetwork Interface Card)の仕組み

NICは、Network Interface Cardの略で、LANに接続することを目的に作られたネットワークインターフェイスカードのことを言います。
NICは、ニックと読みます。
デスクトップPCでは、PCIISAなどの拡張スロットに差し込んで使うLANボードを使用し、ノートPCでは、PCカードタイプのLANカードをPCカードスロットに差し込んで使用します。
また、どちらでも使えるUSBポートに接続して使用するLANアダプタもあります。
イーサーネット以外にも、トークンリング用やATM用などのNICもありますが、ここではイーサーネット用のNICについてのみ説明します。
NIC付属のドライバーソフトが、OSI参照モデルにおけるレイヤ1の物理層レイヤ2のデータリンク層の一番下にあるMAC副層の処理を行います。
NICは、PCIなどのバスインターフェイスMAC、及び、ネットワークインターフェイスの各部分から構成されているハードウェアです。

  1. バスインターフェイス


  2. バスインターフェイスの部分は、物理層のすぐ上にあるMAC副層との間のインターフェイスになり、PCIなどのPCの拡張スロットを通してPCとデータのやりとりを行います。
    物理層Physical Layer)は、OSI参照モデルにおけるレイヤ1で、そのすぐ上にレイヤ2(データリンク層)があり、データリンク層の一番下にあるMAC副層があります。
    バスによって、データ転送方式が異なります。
    PCIISAPCカード、USBなどいろいろあります。
    最近では、ISAバスはほとんどなくなりました。
    データ転送方式には、I/O方式、DMA方式、USB方式などがあります。

    I/O方式では、通信中のデータの一時記憶用のバッファをNICに持っていて、NICとPCとの間でCPUの入出力命令を使用してデータを入出力を行います。
    CPUの入出力命令は、I/O転送用ポートとイーサーネットコントローラ制御用ポートと割り込みラインを一つ使用します。
    PCカードISAは、この方式を利用しています。

    一方、DMA(Dynamic Memory Access)方式は、バス・マスタ方式とも呼ばれ、この方式では、バッファをNICに持たず、PC内部のメモリーを使用します。
    DMA方式は、性能的には、処理速度低下がほとんどないのが特徴です。
    イーサーネットコントローラ制御用ポートと割り込みラインを一つ使用します。
    PCICardbusでは、DMA方式を使用して、高速なデータ転送を行っています。

    また、USB方式では、NICのバッファを使用し、USBなのでシリアル転送を行い、データの送受信を行います。
    USBのシリアル転送には、アイソクロナスやバルクという転送方式がありますが、NICではバルク転送を利用しています。
    USB方式は、割り込みラインを必要としません。
    USB方式のNICの場合、USBポートがあれば、PCカードスロットがないPCでも利用できるのが便利です。

  3. MAC


  4. MACは、Media Access Controlの略で、メディアアクセス制御のことを言います。
    MACは、CSMA/CDと呼ばれるアクセス制御方式の中核を成す部分です。
    MACは、送信と受信の2つの制御を行います。
    バッファには、送信バッファと受信バッファがあります。
    受信の場合は、MACフレームの受信が行われると、下記のネットワークインターフェイスの部分を通してMACフレームを受信バッファに保存します。
    次に、バスインターフェイスの部分を通してPCに受信データを送ります。
    送信の場合は、バスインターフェイスを通して、送信バッファに書き込まれたデータをネットワークインターフェイスの部分を通してMACフレームとなってケーブルから送り出されます。

  5. ネットワークインターフェイス


  6. ネットワークインターフェイスの部分は、OSI参照モデルにおけるレイヤ1の物理層Physical Layer)に相当します。
    実際には、10 BASE-Tでは、MAUと呼ばれるトランシーバー100 BASE-TXでは、PHYと呼ばれるチップがイーサーネット物理層の処理を行います。
    PHYは、ファイと読み、PHYチップは、PHYsical Layer Chipの頭3文字を取った略語です。
    PHYに関しては、ケーブルに最も近い部分をスタックの底と見ると、以下のように機能別に下から積み上げられた感じで3つに分類することができます。

    データリンク層MAC副層のみ)
    PCSPhysical Coding Sublayer
    PMAPhysical Medium Attachment
    PMDPhysical Medium Dependent

    一番上のピンク色のMAC副層は、PHYには含まれず、データリンク層に含まれます。
    MAC副層では、MACフレームが生成されます。
    PHYは、下から見て3つの層に分かれています。
    つまり、下から3つ分がイーサーネット物理層に相当します。
    MACフレームを作り出すMAC副層のすぐ下のPCSPhysical Coding Sublayer)は、物理符号化副層と言い、MACフレームを符号化する処理を行います。
    その下のPMAPhysical Medium Attachment)は、物理媒体接続部と言い、データの送信前はシリアル変換し、受信後はパラレル変換します。
    一番下のPMDPhysical Medium Dependent)は、物理媒体依存部と言い、送信前に信号波形変換を行ったり、受信後に信号の増幅を行ったりします。
    一番下の肌色の部分(PMD)が最もケーブルに近い部分です。
    ネットワークインターフェイスの部分は、電気信号が入ってくる方向(上の表中の矢印【】の方向)から順に説明すると、RJ-45コネクタ、LANパルス・トランスPHYから構成されています。

NICの仕組みに関しては、だいたいおわかり頂けましたでしょうか。

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