現在最も普及しているNICは、100 BASE-TX(ファーストイーサーネット)に対応したNICでしょう。
大企業、中小企業、SOHO、一般家庭で見るとこんな感じだと思いますが、企業に限ると1000 BASE-T(ギガビットイーサーネット)に対応したNICやハブなどももうだいぶ普及したことでしょう。
1000 BASE-T対応のNICは、もうだいぶ価格が下がりました。
これからNICを購入するなら、ギガビットイーサーネット対応ということになるでしょう。
しかし、NICだけ高速でも無意味です。
ハブなどの中継装置からPCの性能まで総合的に高速でないと、ギガビットイーサーネットを導入する意味がありません。
低速な装置がどこかにあると、そこを通る時速度の点で障害になります。
クライアントと言えども高性能なPCと高速なハードディスクが必要でしょう。サーバーならなおさらです。
最近では、動画、音声、リッチコンテンツの多いホームページなど、大量データの利用が盛んです。
このような状況では、ネットワークの負荷も高いです。
そこで、ネットワークの高速化の必要性が高まってきました。
これに答える高速イーサーネットの新しい規格の総称としてギガビットイーサーネットが登場しました。
ここで言うギガビットイーサーネットは、1GbEとも言い、1Gbps(1秒当たり1ギガビット)の帯域幅がある規格の総称を指します。
以下の表にギガビットイーサーネットの仕様を示しておきます。
規格名称 | ケーブルの種類 | 1セグメント当たりの最大長 |
---|---|---|
1000 BASE-T | UTPケーブル(カテゴリ5e以上) | 100m |
1000 BASE-SX | マルチモード光ファイバ | 550m |
1000 BASE-LX |
マルチモード光ファイバ シングルモード光ファイバ |
550m(マルチモード) 5000m(シングルモード) |
1000 BASE-CX |
同軸ケーブル STPケーブル | 25m |
ファーストイーサーネットでは、使用中の銅線の中を、それぞれ100Mbpsの伝送速度で電気信号を流していました。
これに対して、ギガビットイーサーネットの内、1000 BASE-Tでは、銅線全部を使用してそれぞれ250Mbpsの伝送速度で電気信号を流します。
全部で4対8本の銅線がありますから、1対2本の銅線で上りと下りの全二重通信を250Mbpsの伝送速度で行うことになります。
この組み合わせで4対あるので、合計4組上りと下りの通信を250Mbpsの伝送速度で行えます。
1対ごとに送受信ができるようになっています。
全二重通信ができるのは、ファーストイーサーネット以前でもできました。
ファーストイーサーネット以前では、信号の送信と受信にそれぞれ1対ずつ使っていました。
そして、1対分の2本の銅線は、+と−に分けて使用していました。
1対ごとに送信回路と受信回路がそれぞれ接続されていました。
つまり、PC側に送信回路と受信回路がそれぞれあり、LANスイッチ側にも送信回路と受信回路がそれぞれありました。
これで問題なく全二重通信を行っていました。
ところが、ギガビットイーサーネットでは、4対8本の銅線全部を使用して信号を送信してきます。
これでは、送信側とは反対側の機器からは何も送ってこれません。
これでは単線の鉄道みたいに半二重通信になってしまいます。
この問題を解決できるのがハイブリット回路です。
ギガビットイーサーネットでは、両サイドでハイブリット回路を使用し、1対に付き一つずつあるので、全部で4つあります。
ハイブリット回路は、送信信号と受信信号を分ける役割を担っている回路で、PHYと呼ばれるチップに内蔵されています。
ハイブリット回路は、送信回路に4本の線で接続され、受信回路にも4本の線で接続されています。
PC側もLANスイッチ側も同様です。
ところが、このハイブリット回路には問題があります。
自ら送信した信号のエコーが発生してそれが通信障害になります。
つまり、自ら送信した信号が自分のハイブリット回路や相手のハイブリット回路で戻ってきてしまうという現象が起きて、それが通信障害になってしまいます。
また、他の対の銅線から漏れてくる信号と混信するという問題もあります。
これらの問題は、PHYチップのノイズ除去機能によって除去されます。
PHYチップは、ノイズを除去しながら送受信を繰り返します。
1000 BASE-Tは、ファーストイーサーネット以前と比べると少々複雑な通信を行っています。
1000 BASE-Tでは、カテゴリ5e以上のUTPケーブルを使用することが望ましいです。
ところで、少し仕組みを変更して500Mbpsの伝送速度に上げた1000 BASE-Tの後継として、1000 BASE-TXという規格も登場しました。
1000 BASE-TXは、1000 BASE-T同様4対8本の銅線のケーブルをフルに使用します。
1000 BASE-TXは、1000 BASE-Tのようにハイブリット回路を使用しません。
1000 BASE-TXでは、ファーストイーサーネットやイーサーネットでは未使用だった4本の銅線(2対分)も通信に利用されています。
そして、4対全部500Mbpsの伝送速度で同時に全二重で通信できます。
これで伝送損失が少なくなり、より高速な通信が可能となりました。
ちなみに、1000 BASE-Tがカテゴリ5eのUTPケーブルの使用が望ましいとなっていたのに対して、1000 BASE-TXはカテゴリ6のUTPケーブルを使用することが望ましいようです。
UTPケーブルとは、Unshielded Twisted Pair Cableの略で、4組の撚り対線(よりついせん)を1つの束にしたケーブルです。
1組の撚り対線は、ノイズ防止のため、2本の銅線を束ねて撚ってあるので、こう呼ばれています。
この撚りがどのくらい多いかをカテゴリが表していて、同時にケーブルの品質を示しています。
上の例では、カテゴリ5eよりカテゴリ6の方がケーブルの品質が良いわけです。
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