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LANの初歩

10 BASE-T100 BASE-TXの信号符号化方式

10 BASE-Tでは、マンチェスター符号化方式が使用されていて、100 BASE-TXでは、MLT-3(Multi Level Transmission-3)と呼ばれる符号化方式が使用されています。
マンチェスター符号化方式は、かつて10 BASE-5でも使用されていました。
ちなみに、EthernetUIEEE802.3では、マンチェスター符号化方式を採用しています。
つまり、10Mbpsの伝送速度の規格では、マンチェスター符号化方式が使用されます。
マンチェスター符号化方式は、シリアル信号を伝送する際の信号符号化方式です。
例えば、送信データが以下のような8ビットだったとします。


この方式では、上記の先頭のビットのように、を伝送する時は、電圧レベルをL(低)からH(高)にし、後続のを伝送する時は、電圧レベルをH(高)からL(低)にして出力します。
このような電圧の状態変化を符号化する際、0110というように符号化します。
つまり、1ビット長の2値の信号を2ビット長の2値の信号に置き換えているわけです。
このようなビット列からクロック信号を再生できるようになっています。
クロック信号は、同期を取るための周期的なパルス信号を言います。
同期を取るとは、タイミングを合わせることを言います。
クロック信号は、クロックとか、クロックパルスとも言います。
パルスという言葉には、英語の辞書では「鼓動」、「脈打つこと」、「波動」、「振動」という意味があります。
従って、心臓の鼓動もパルスです。
電気関連の用語としてわかりやすく簡単に言ってしまうと、パルスとは、非常に短い時間に流れた後、ちょっとの間お休みとなる電流のことを言います。
しかし、このようにたった1回とは限らず、瞬間的に電流が流れて、その後ちょっと休みがある周期を繰り返す場合もあります。
まさに、脈打つ感じですよね。
1と0(オンとオフ)のデジタル信号が以下の図のようになれば、パルス信号になります。


パルス信号


一番上の図では、パルス信号は、1と0(オンとオフ)が1回だけですが、その下の図では周期的に繰り返されています。
例えば、10101010とか100010001000などのように繰り返されてもパルス信号です。
0(オフ)が少々長くなってもパルス信号です。
ただし、1が連続したまま(オンのまま)のデジタル信号パルス信号ではありません。
上の図の矢印の間をパルス間隔と言います。
パルスについてはおわかり頂けたでしょうか。
さて、少し横道にそれたので、クロック信号の説明に戻ります。
コンピュータなどのデジタル機器を動作させるために、クロックが必要です。
デジタル機器には、クロックを発振するために水晶振動子を使用した回路があります。

次は、100 BASE-TXの信号符号化方式です。
100 BASE-TXでは、MLT-3(Multi Level Transmission-3)と呼ばれる信号符号化方式が採用されています。
前述のマンチェスター符号化方式では、高と低の単なる2値の電圧レベルしか使用していませんでしたが、MLT-3は、高・中・低の3段階の電圧レベルを使用します。
これで3値の状態で符号化できます。
例えば、1で電圧レベルが1つ上がり、続いてまた1なら、さらに電圧レベルが1つ上がり、また1なら電圧レベルが1つ下がり、今度は0なら電圧レベルは変化しません。
1が続くと電圧レベルが上ったり下ったりし、0で一休みとなります。
2段階上ると、下り始めます。
2段階下ると、また上り始めます。
間に一休みすることもありますが、3回以上連続して休む(0になる)ことはありません。
このような感じで状態変化します。
上記のように1ばかりとは限らず、0が続くこともあります。
0が多く続くと、同期が取れなくなるという問題が発生します。そこで、これを避けるために、少なくとも二つは1を入れるようにします。
これによって、0の連続は最大2つまでとなります。
このようなデータ符号の変換を4B/5B変換と言います。
つまり、1が増える分4ビットを5ビットで表現することになります。
このようなビット列にして送信することになります。
100 BASE-TXでは、データ符号化方式に4B/5Bを採用しています。

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リピータハブの仕組みと機能

リピータハブの仕組みはどうなっているのでしょうか。
リピータハブは、電気信号が入ってくる方向から順に説明すると、RJ-45コネクタ、LANパルス・トランスMAUMedia Access Unit)、リピータ・コントローラというICから構成されています。
電気信号は、ケーブルを伝ってRJ-45コネクタから入ってきます。
パルス・トランスで、リピータハブの中にノイズが混入するのを防いでいます。
MAUMedia Access Unit)は、10 BASE-T用のトランシーバのことです。
10 BASE-5用とは異なり、独立した機械ではありません。
MAUは、デジタル信号とアナログ信号の相互変換、コリジョン(電気信号の衝突)の検出を行います。
リピータ・コントローラは、受信したポート以外のすべてのポートに電気信号を流します。
また、リピータ・コントローラは、MAUからコリジョンの通知を受信することができ、受信すると、すべてのポートにジャムと呼ばれる信号を送信します。
このジャム信号は、1で始まり、その後インターリーブに並んでいます。
ジャム信号が送信されると、MACフレームを送信中だった端末がコリジョンの発生を知り、MACフレームを再送します。
ところで、リピータハブを使用したことがある方なら御存知だと思いますが、10 BASE-T以外に10 BASE-2セグメントを中継するBNC型コネクタや、10 BASE-5セグメントを中継するAUIポートが付いている機種もあり、この場合、スター型以外に、バス型のような異なるトポロジーLANを中継することもできます。
10 BASE-2を中継できる機種なら、T型コネクタを付けられるようになっていて、10 BASE-5を中継できる機種なら、AUIポートが付いているので、AUIケーブルを繋げます。
ちなみに、セグメントとは、1本のケーブルで接続可能なLANの構成単位を表します。
スター型とかバス型などのネットワークの形態をトポロジーと言います。
10 BASE-210 BASE-5は、バス型になり、10 BASE-Tは、スター型になります。
ハブは、このスター型トポロジーで使用される装置です。
スター型トポロジーなので、星の光のようにあらゆる方向に広がって信号が放射されます。
ちょうど自転車の車軸のようです。
ハブとは、この自転車の車輪の中心を言うらしいです。
これがハブの語源のようで、何となく想像がつきます。

次に、リピータハブにはどんな機能があるのでしょうか。
リピータハブは、マルチポートリピータの一種なので、リピータとしての機能があり、それはIEEE802.3で定められています。
主な機能として、「受信ポート以外のすべてのポートに電気信号を流すこと」、「劣化した電気信号の復元」、「コリジョンの検出とジャムと呼ばれる特殊な信号を送信すること」、「プリアンブルの再生」、「ジャバー・ロックアップ保護機能」、「フラグメントフレーム拡張機能」、「パーティション機能」、「リンクテストを行う機能」、「ケーブルの誤配線による極性反転に対応する機能」などがあります。
もう少し詳しく説明します。

  1. 劣化した電気信号の復元


  2. 送られてくる信号は、距離が遠くなれば徐々に減衰して行きます。
    また、ケーブル周辺の電磁波の影響も受けます。
    リピータハブの特定のポートで受信した時は既に信号が減衰している可能性があります。
    このように劣化した信号を復元し、他のポートに送信します。

  3. プリアンブルの再生


  4. IEEE802.3仕様のフレームでは、MACフレームの先頭にある7オクテット(56ビット)のプリアンブル部(Preamble Part)と、これに続いて1オクテット(8ビット)のSFD(Start Frame Delimiter)があります。
    IEEE802.3仕様は、LANの標準化を行っているIEEE802委員会という組織の16のワーキンググループの内、IEEE802.2というグループで策定されたものです。
    IEEEとは、米国電気電子技術者協会のことです。
    IEEE802.3仕様のプリアンブル部は、1と0が交互に28回並んだビット列で、それに続くSFDは開始フレームデリミタのことを言い、10101011という決まったビット列になります。
    プリアンブル部は、受信回路のクロックの同期に使用されますが、回路上にMAUがあるために、ビット・ロスなどの障害が発生します。
    このことが原因して、IEEE802.3仕様で決められているプリアンブル部の7オクテット(56ビット)のビット列に満たない場合があります。
    そこで、7オクテットプリアンブル部を再生して送信します。

  5. ジャバー・ロックアップ保護機能


  6. MAUと呼ばれるトランシーバには、ジャバーと呼ばれる働きがあります。
    これは、LAN上で動作している端末に何らかの異常が発生して、このため20ミリ秒以上もの異常に長いフレームを送信してきた場合、その端末をLANから切り離す機能のことを言います。
    この障害端末をLANから切り離す際に、ジャムと呼ばれる信号をLANに送信します。
    このような異常に長いフレームをリピータハブが受信した場合、リピータハブは、受信ポート以外のすべてのポートに接続されたトランシーバジャバー機能が働いてしまわないように、9.6μs(マイクロ秒)のアイドルデータを5ミリ秒間隔で挿入して、送信を強制的に中断します。
    このことをジャバー・ロックアップ保護機能と言います。
    このアイドルデータは、何もないデータのことを言います。
    リピータハブの場合、トランシーバが一度ジャバー状態に陥ると、その原因となった端末を切り離してもジャバー状態から復旧できなくなるというジャバー・ロックアップ状態になってしまいます。
    これを防ぐためにジャバー・ロックアップ保護機能があるわけです。
    復旧には、0.5〜1.5秒間、何も信号が送られないアイドル状態を保つ必要があります。

  7. フラグメントフレーム拡張機能


  8. 何らかの障害で、受信したMACフレームの長さがプリアンブル部SFDも含めて96ビットにも満たなかった場合は、受信したMACフレームジャム信号を付けて96ビットにして受信したポート以外のすべてのポートへ送信する機能をフラグメントフレーム拡張機能と言います。

  9. パーティション機能


  10. リピータハブの一つのポートで発生した障害は、LAN全体に影響を及ぼすことがあります。
    このようなことにならないように、リピータハブは、障害が発生した時に問題となっているポートを自動的にLANから切り離します。
    障害としては、断線、T型コネクタやターミネータ、ケーブルなどの不良が考えられます。
    自動切り離しの条件としては、同一ポートでコリジョンが連続して32回以上発生した時と、一回のコリジョンが1ミリ秒以上継続した時の二つがあります。

  11. リンクテストを行う機能


  12. 10 BASE-Tを使用したLAN環境では、機器同士が相互に問題なく接続完了したかどうかをテストして確認するため、リンクテストパルスというパルス信号を送信し合います。
    リピータハブは、このパルス信号を受信すると、ポートに機器が接続されたことを認識でき、その後送受信が可能になります。

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スイッチングハブの仕組みと機能

スイッチングハブの仕組みはどうなっているのでしょうか。
スイッチングハブは、電気信号が入ってくる方向から順に説明すると、RJ-45コネクタ、LANパルス・トランスPHYMACMedia Access Control)、スイッチ・コントローラというICから構成されています。
この項目では、100 BASE-TXを前提にスイッチングハブの仕組みについて説明します。
電気信号は、ケーブルを伝ってRJ-45コネクタから入ってきます。
パルス・トランスで、スイッチングハブの中にノイズが混入するのを防いでいます。
その後、電気信号はPHYと呼ばれるチップへと行きます。
PHYは、パルス・トランスMACの間に入って信号のやり取りをします。
MACは、Media Access Controlの略で、メディアアクセス制御のことを言います。
100 BASE-TXでは、MLT-3(Multi Level Transmission-3)と呼ばれる信号符号化方式が採用されています。
PHYは、この信号符号化方式に基づいて信号のやりとりをします。
MLT-3に関しては、このページの一番冒頭の項目(10 BASE-T100 BASE-TXの信号符号化方式)で既に説明しました。
PHYは、クロック信号を生成してMACへ送る役割もします。
MACは、CSMA/CDと呼ばれるアクセス制御方式の中核を成す部分です。
PHYとこのMACとの間の境界に、MIIMedia Independent Interface)があり、これを通してデータのやりとりが行われます。
MACでは、受信時にエラーの検出が行われます。
受信したMACフレームは、MACからスイッチ・コントローラへ送られます。
スイッチ・コントローラでは、MACフレームの宛先アドレスを調べて、スイッチングハブの中にあるMACアドレステーブルに宛先アドレスが存在するかどうかを確認し、転送先のポートを決定します。
この時、送信元のアドレスも調べて、MACアドレステーブルにそのアドレスが登録されているかどうかを確認します。
MACアドレステーブルは、MACアドレスと対応するポートを登録してあるテーブルです。
これがスイッチングハブの中にあります。
送信元のアドレスがもしMACアドレステーブルに登録されていなければ、そのアドレスをMACアドレステーブルに登録し、ついでに対応するポートやエージング情報も登録します。
エージング情報とは、MACアドレステーブルにあるMACアドレスごとの状態を表す情報のことです。
この情報は、そのMACアドレスが有効かどうかなどを示す複数のフラグビットから成っています。
スイッチ・コントローラは、このような役割をする以外に受信したMACフレームパケットバッファに格納する役目もあります。
一時的にMACフレームを蓄えるこのバッファは、内部がキュー(queue)の構造をしています。
最初に入ったデータが最初に出てくるというデータ構造をキューと言います。
また、キューのようなデータの入出力方式をFIFOFirst In First Out)と言います。
ちなみに、スタックと呼ばれるデータ構造がありますが、お皿を入れるスタックと同じように、スタックはデータを順番に積み上げていく構造です。
先に入れたお皿は最後にしか出せませんし、最後に入れたお皿は最初に出せます。
どんどん上にお皿を積み上げていくわけですから、当然こういうことになります。
パケットバッファの場合は、キューの構造をしているので、受信した順番に転送していくことができます。
ここまでの説明で内蔵パーツごとの機能について解説してきました。
ここまでの説明でスイッチングハブの仕組みはお分かり頂けましたでしょうか。

次にやや高価なスイッチングハブにしかない機能について簡単に説明します。
その一つは、ポートミラーリングです。
特定のポートで送信または受信したMACフレームを他のポートにコピー(ミラーリング)することができるスイッチがあります。
このような機能のことをポートミラーリングと言います。
通常、スイッチでは通信中の他のポートを流れるMACフレームの内容を把握することはできないので、プロトコルアナライザーのようなソフトウェアを使用する場合不自由です。
このようなソフトウェアを使用する場合、便利なのがミラーリングポートの存在です。
ポートミラーリング機能があるスイッチは高価で、インテリジェントハブインテリジェントスイッチにある場合が多いです。
また、STPVLANに対応している機種もあります。
これらに関しては、以下のページで御覧下さい。

スパニング・ツリー・プロトコルSTP
VLAN

また、スイッチングハブには、主に二種類の転送方式がありまして、これに関しては以下の項目をクリックすると御覧になれます。

スイッチの転送方式について

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リピータリピータハブブリッジスイッチングハブスイッチとそれぞれの関係について

上のタイトルには、いろいろな通信機器を並べましたが、説明上1つ1つ述べるとかえってわかりずらくなるので、まとめて解説することにしました。
リピータブリッジリピータハブスイッチングハブスイッチの何れも、LANの中継装置です。
リピータハブは、ダムハブとかシェアードハブとも呼ばれています。
ちなみに、リピータハブは、ダムハブと呼ばれる場合もあるのですが、正確にはダムハブノンインテリジェントハブのことを指します。
ノンインテリジェントハブインテリジェントハブに関しては、このページの一番最後で説明します。

ところで、CSMA/CDとは?という項目で解説したように、LANのハードウェアのことをイーサーネットと呼びます。
イーサーネットでは、同軸ケーブルを使ったバス型ネットワークでもUTPケーブルを使ったスター型ネットワークでもケーブルの長さに限りがあります。
この問題を克服するため、同軸ケーブルを使ったバス型ネットワークが主流だった時代にリピータという装置ができました。
以下のように接続します。

リピータを使用した中継

上の図でセグメントという用語がありますが、初めて聞いた人は、セグメントをクリックして御覧下さい。
上の図では、1階と2階をリピータで繋いでいます。
リピータハブのような中継装置で繋ぐ複数の物理的なネットワークをセグメントと呼びます。
バス型ネットワークでも10 BASE 5という名称では、イエローケーブルと呼ばれる太い同軸ケーブルが使われていました。
図では2つのセグメントが存在します。
この一つ一つを一本ずつの同軸ケーブルとして見ることができます。
2階にセグメント2があり、ここに何台もコンピュータを繋ぎます。
2階に一本同軸ケーブルがあれば良いというわけです。
下へ行って1階にはセグメント1があり、ここにも何台もコンピュータを繋ぎます。
1階にも一本同軸ケーブルがあります。
リピータハブという装置は今ではほとんど見かけなくなりました。
古いリピータハブでは、図のように2ポートしかないので、2つのセグメントしか接続できません。
その後、マルチポートリピータというポートがたくさんあるリピータハブが登場しました。
これで、ポートの数だけ同軸ケーブルを繋いで1台のリピータハブだけで多くのセグメントを作り、たくさんのコンピュータをケーブル長の制約を超えて繋ぐことができるようになります。
10 BASE 5の終わりのは500mの最大ケーブル長を示し、頭の10は10Mbpsの通信速度を表わします。
これ以上遠いところにあるコンピュータは、リピータハブを使って繋ぐことになります。
やがて、イエローケーブルを使っていた時代は去り、バス型ネットワークからスター型ネットワークに移って行きました。
こういうネットワークの接続形態をトポロジと言います。
他にリング型という形態もあります。
こうして、マルチポートリピータUTPケーブルを複数ポートに繋ぐリピータハブへと替わって行きました。
リピータハブマルチポートリピータなのです。
リピータハブリピータハブは、半二重通信という方式で通信します。
半二重通信とは、送信側と受信側が交互に通信を行う通信方式です。
つまり、相手が送ってから自分が送るという感じの通信しかできません。
対立する言葉に全二重通信がありますが、これはブリッジスイッチングハブの解説で一緒に行います。
もう既にLANを導入されているのなら、小さなハブでも4〜8ポートくらいはあるのはお分かり頂けると思います。
今、ハブと言いましたが、リピータハブを単にハブと言って、スイッチングハブと区別する場合もあります。
ここでスイッチングハブが登場したので、ブリッジスイッチングハブの解説をしたいと思います。
リピータハブに関しては、また後でスイッチングハブと合わせて解説することにします。
ブリッジリピータハブも、上の図のようにセグメント同士を接続する中継装置であることには変わりありません。
しかし、リピータハブに比べるとブリッジはもう少し機能が高い装置で、リピータハブよりもう少しネットワーク階層が高く、もうちょっと効率的な通信ができます。
もう少しわかりやすく言うと、リピータハブが電気信号だけをもう一方のネットワークに流しているだけなのに対して、ブリッジでは宛先としてのMACアドレスという16進数が6桁の番号を使用して特定の装置にデータを送ることができる中継装置です。
MACアドレスMACとは、Media Access Controlの略です。
ブリッジは、データリンク層で中継し、リピータハブ物理層で中継します。
もっと厳密に言うと、ブリッジは、データリンク層でもMAC副層で中継します。
そのため、ブリッジは、MACアドレスを見てネットワークを流れるMACフレームを中継するか否かを判断します。
リピータハブリピータハブ物理層で中継します。
ブリッジと同様、スイッチングハブは、データリンク層で中継します。
ブリッジは、バッファと言うメモリーを使用します。
この点では、ブリッジスイッチングハブも同様です。
ここにアドレステーブルがあり、MACアドレスを記憶しておきます。
このテーブルは、MACアドレスとポートの対応表になっています。
初期のブリッジは、リピータハブ同様2つのポートしかありませんでしたが、やがてリピータハブと同様にマルチポートのブリッジが登場しました。
現在では、バス型ネットワークからスター型ネットワークに替わり、スイッチングハブを使うようになりました。
初期のブリッジでは、同時に1つのMACフレーム転送しかできませんでした。
つまり、送信元と宛先のMACアドレスと続くデータの塊を相手のコンピュータに送信するのは1回だけで、それが終わるのを待たなければ他のコンピュータから次の転送ができないということになります。
仮に4つ以上のポートがあったとしても、2つのポートが受信と送信を行っている間、他のポートは通信ができない状態になるということです。
この不便なブリッジという中継装置に革命をもたらしたのが、米国のカルパナというメーカーが複数のポートを持つブリッジを複数同時に動作させることができる製品(イーサスイッチ[EPS-700])を発表しました。
1990年でした。
その後、送信側と受信側が双方向に同時に通信ができる通信方式(全二重通信)ができるように改善し商品化に成功しました。
このメーカーをあの有名なシスコシステムズという米国の大手通信機器メーカーがその後買収しました。
これで、基本動作はあくまでもブリッジであるスイッチという中継装置が誕生しました。
ここで、ブリッジスイッチングハブの違いについて説明をする必要があります。
スイッチングハブは、別な言い方をするとレイヤ2スイッチと言います。
つまり、スイッチの一種なのです。
実際に、スイッチという言葉は広義に使われます。
レイヤ3スイッチレイヤ4スイッチインテリジェントスイッチという言葉もありますので、意味が幅広いです。
スイッチに関しては、今回は詳しくは御説明しません。
また今度ルーターと一緒に解説したいと思います。
ちなみに、ルーターレイヤ2スイッチよりさらにネットワーク階層が上がって、レイヤ3というネットワーク層で中継します。
話が少しそれたので、ブリッジスイッチングハブの違いについての説明に戻ります。
スイッチングハブは、ブリッジと仕組みが似ていることはもうお分かり頂けたと思います。
スイッチングハブブリッジで共通している点は、電気信号というより、メモリー上にあるMACアドレステーブルを参照して、宛先のMACアドレスMACフレームを送信することです。
このイメージは、後述のスイッチの仕組みと信号の流れを示した図を参照して下さい。
両者の違う点は、古いブリッジでは、通信を行っていないポートは休止状態になりますが、スイッチングハブでは、複数のポートで同時に通信を行います。
両者の違いに関してはまた後で解説します。
さて、今度はリピータハブスイッチングハブの違いをもっと詳しく解説したいと思います。
リピータハブは、CSMA/CDとは?でも解説したように、パソコンなどの端末からの発信や信号の衝突を検出したらそれを書く端末に通知し、受信した信号を繋がっているすべての端末にブロードキャスト(一斉同報配信)する装置です。

リピータハブの仕組み

リピータハブの仕組みと信号の流れを示した図

上の図のように端末と端末の間にリピータハブがあるとして、両方の端末から電気信号を受信するとリピータハブ内部の回路の部分で衝突します。
このような電気信号の衝突をコリジョンCollision)と言い、端末から端末までの間をコリジョン・ドメインと言います。
コリジョン・ドメインとは、衝突が起こる範囲を指します。
もう少し詳しく言うと、コリジョン・ドメインとは、CSMA/CD方式のネットワークMACフレーム同士の衝突を検出するセグメントを指します。
リピータハブの仕組みと信号の流れを示した図と後で示したスイッチの仕組みと信号の流れを示した図を見比べてみて下さい。
リピータハブは、受信ポート以外のポートからすべて同じ信号が出力されます。
従って、パソコンAからパソコンBに送信しても、パソコンCのLANアダプタのランプを見るとパカパカ点滅しています。
つまり、関係ないパソコンにも信号が行っているわけです。
これだけ見ても非効率です。
しかし、ネットワークの監視には役立ちます。
上の図のようにリピータハブでは半二重通信になります。
双方向通信はできず、片方向通信しかできません。
よく鉄道で田舎に行くと単線の路線がありますが、あれみたいなものです。
列車がすれ違う時は、一旦駅でもう一方の列車が来るまで待機していなければなりません。
LANでは、他の端末が送信を終わるのを待つわけですから、それだけ通信が遅くなります。
リピータハブに関して、これだけ見ても問題ですが、さらに問題点があります。
それは、複数のリピータハブを繋ぐカスケード接続を行う場合です。
リピータハブが多く使われてきた10 BASE-Tでは、500mが延長の最大限度となるため、1セグメントの最大長が100mであることから、最大5セグメントまでとなります。
従って、リピータハブは4台がカスケード接続の限度となります。
このような制約があります。

スイッチの仕組み

スイッチの仕組みと信号の流れを示した図

今度は上の図を見て下さい。
こちらは、スイッチの場合です。
スイッチングハブレイヤ2スイッチなので、上の図のような仕組みになり、上の図のような通信を行います。
スイッチでは、前述のようにバッファと言うメモリーを使用しますので、信号を一度メモリーに蓄えた後、出力側で信号の送信が行われていないことを確認してから送るという方式を採用していますので、信号の衝突は起こりません。
コリジョン・ドメインで示すように、衝突が起こる範囲も2つに分裂します。
リピータハブの仕組みと信号の流れを示した図スイッチの仕組みと信号の流れを示した図では、局所的にしかわからないので、LAN全体でのコリジョン・ドメインのイメージを掴みにくかったと思います。
そこで、LAN全体でのコリジョン・ドメインの例を図で以下に示します。

複数のコリジョン・ドメインのイメージ

複数のコリジョン・ドメインを示した図

御覧のようにコリジョン・ドメインは、スイッチを境にして複数存在します。
このような場合、例えばコリジョン・ドメインで隣り合う2台のPCが同時にデータを送信したとします。
つまり、コリジョン・ドメインにあるすべてのPCが同時に隣のPCにデータを送信します。
さらに、コリジョン・ドメインでは、一番左上の1台のPCがその斜め右下にあるPCにデータを送信します。
この時、コリジョン・ドメインの範囲内で信号の衝突が起こったとします。
この時、スイッチを越えて信号が衝突することはありません。
つまり、隣のコリジョン・ドメインで起きた信号の衝突は影響しないので、コリジョン・ドメインでは信号の衝突は起こりません。
これまでの説明で、電気信号の衝突がLANに及ぼす影響についておわかり頂けましたでしょうか。

ところで、スイッチでは、先ほどの全二重通信を実現できているわけで、効率的な信号の送受信ができます。
こちらは、半二重通信と違って双方向で同時に通信ができるわけですから、通信速度も半二重通信の2倍になります。
リピータハブとは違い、受信ポート以外のポートからすべて同じ信号が出力されません。
フィルタリングという機能があるため、メモリーにある宛先を見て宛先以外のポートには信号を送信しません。
つまり、フィルターとしての機能を持っているわけです。
これのおかげでトラフィックを大幅に減らせます。
例えば、4ポートタイプのスイッチングハブでは、2組の通信が同時に行えます。
スイッチングハブは、全二重通信という方式で通信します。
上の図はまさに4ポートタイプです。
スイッチングハブを使用すると、トラフィックの多いネットワーク環境では混雑緩和に役立ちます。
上のスイッチの仕組みと信号の流れを示した図のように、ブリッジスイッチングハブは、ポート1つ1つについてコリジョン・ドメインを分割できるのがわかります。
ケーブルが長すぎると、電気信号の遅延から衝突を正しく検出できないが、スイッチングハブはこれを分離できます。
このことは、前述のカスケード接続の際に距離の制限を受けないため、理論上無制限になります。
それでもあまり多くスイッチングハブ同士を繋いでしまうと、ケーブルやポートなどのトラブルの切り分けが難しくなることから、少なめが良いことではリピータハブと変わりありません。
せいぜい3台程度が理想的です。

スイッチに関して、初めての方はカタログなどでの名称に混乱するかもしれないので、幾つか注意点をあげておきます。
LAN製品カタログなど見ると、インテリジェントハブとかインテリジェントスイッチという記述を見ます。
これらに関して、実際にどんな機械なのかお分かりにならない方は、インテリジェントハブインテリジェントスイッチを参照して下さい。
ちなみに、インテリジェントが付くスイッチングハブスイッチは、高機能なため価格がかなり高いです。

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リピータハブスイッチングハブにおける電気信号の流れの違いについて

リピータハブ(シェアードハブ)の電気信号の流れ
リピータハブシェアードハブ)の電気信号の流れ

上の図は、リピータハブにおける電気信号の流れです。
御覧のように誰かが1台のPCで通信を行うと、全部のポートに電気信号が流れてしまいます。
リピータハブでは、半二重通信しかできません。
双方向通信はできず、片方向通信しかできません。
また、リピータハブでは、LANに接続されている端末の台数が増えると、コリジョンが多発します。
コリジョンの発生元の端末がコリジョンを検出すると、乱数で決めた時間間隔をおいて再送します。
このように、通信エラーが起きるたびに再送する仕組みでは、オーバーヘッドが大きくなり、これではトラフィックネットワークの交通量)が増大してしまい、伝送効率が悪いです。

スイッチングハブの電気信号の流れ
スイッチングハブの電気信号の流れ

しかし、上の図の例で示した6ポートのスイッチングハブだと、1台のPCがオレンジの線で示したポートで通信を行っていたとしたら、他のポートは空いているわけですから、同時に他の人がPCで通信できます。
スイッチングハブは、全二重通信ができます。
リピータハブ半二重通信とは異なり、単線ではなく複線です。
これなら、だいぶトラフィックを軽減できそうです。
上の図のように6ポートのスイッチングハブだと楽々3人で利用できます。
上の図では、色が違う線なら複数の人が楽々通信できます。

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LANを流れるデータの解析についての基礎知識

LANを流れているデータを解析することができます。
不正アクセスの発見にも役立ちます。
ネットワークを管理する者なら、ネットワークを流れているデータの内容を分析できる必要があります。
そのためには、ある程度プロトコルに関する知識が必要となります。
プロトコルに関する情報は、ネットワークを流れているデータを分析するとわかります。
メーカー固有のプロトコルのようにわかり難い場合もありますが、インターネットでよく使用されているプロトコルなら分析すればだいたいわかります。
インターネットでよく使用されているプロトコルは、普通LANでもたくさん流れています。
インターネットやLANでよく使用されているプロトコルについての詳細は、書籍でも学習できますが、RFCRequest For Commentの略)というネット上で無料で公開されているドキュメントで調べることができす。
RFCに関しては、以下のサイトで御覧下さい。お勧めサイトを厳選しました。

RFC Sourcebook
JPNIC RFC-JP(社団法人:日本ネットワークインフォメーションセンター)

ところで、LANを流れているデータを分析するには、プロトコルアナライザーが必要になります。
プロトコルアナライザーには、ハードウェアもあります。
これは非常に高価な専用機です。
ソフトウェアのプロトコルアナライザーも高価なものがあります。
50万円から100万円以上する製品もあります。
しかし、ソフトの場合、非常に価格が安いシェアウェアから無料のフリーソフトまでありますので、インターネットで探せば何か見つかると思います。
プロトコルアナライザーで、LANを流れるパケットを解析したい場合、ミラーリングポートがあるスイッチングハブリピータハブを使うことで通信を行っているパソコン同士以外の通信も全部見ることができます。
低価格なスイッチングハブでは、ミラーリングポートがないので、通信を行っているパソコン同士以外のMACフレームを取得できません。
従って、プロトコルアナライザーでほとんど分析できません。
通信を行っている2台のパソコンの何れかにプロトコルアナライザーがインストールされていなかった場合、何も受信できず、分析できないことになってしまいます。
通常、スイッチングハブを使うと、サブネットのすべてのパケットプロトコルアナライザーで取得することができません。
そんな時は、今でもリピータハブが役立ちます。
リピータハブなら取得できます。
メーカーサイトへ行って調べても、リピータハブスイッチングハブも価格は安いですが、最近ではリピータハブはほとんどないです。
今ではリピータハブを手に入れるのは難しくなってきているので、これがなければミラーリングポートがあるスイッチを購入する必要があります。
ミラーリングポートがあるスイッチは、低価格なスイッチングハブとは価格の面で1桁違うくらいに高いです。
製品カタログなどを見ると、よく「ポートミラーリング対応」と書いてある製品を見ますが、こういう製品にはミラーリングポートが付いています。

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